四国鉄道文化館は、JR四国伊予西条駅に隣接する鉄道保存展示施設です。伊予西条駅を挟んで南北に2館の展示施設が設けられています。さらに、西条市が生まれ故郷であった新幹線の生みの親、旧国鉄総裁の十河信二を記念した「十河信二記念館」と、西条市観光交流センターの計4施設を合わせて「鉄道歴史パーク in SAIJO」として一体的に運営されています。



四国鉄道文化館 北館

 北館内には、昭和39年の新幹線開業時に登場した初代0系新幹線と、主に四国で活躍し、準鉄道記念物に指定されている「DF50形ディーゼル機関車」1号機が展示されています。「DF50形ディーゼル機関車」は、日本でただ1台、走行可能な状態(ただし、機関故障により自走は不可)で保存されており、隣接するJR四国予讃線から分岐された軌道が、四国鉄道文化館内に引き込まれています。



伊予西条駅構内から見た四国鉄道文化館北館










主な展示


DF50 1 DF50形ディーゼル機関車「1号機」

 DF50形機関車は本線での客貨運用が可能な最初の実用的ディーゼル機関車で、北海道を除く日本各地の非電化亜幹線と一部非電化幹線で運用されました。特にトンネルの多い土讃本線のような路線では、蒸気機関車の煤煙から解放される無煙化の効果が大きく、全国に先駆けて四国の土讃本線にDF50形機関車が投入されました。
 DF50形1号機は、昭和32年(1957年)に新三菱重工三原製作所で作られ、高松に配置された車両で、その後、敦賀、長野、米子への異動を経て、昭和42年(1967年)に再び高松運転所に配置されました。昭和58年(1983年)9月25日、「さよならDF50土佐路号」として最後の運転がなされるまで、260万キロメートルの距離を走りました。昭和58年(1983年)には、準鉄道記念物に指定された貴重な車両です。





DF50運転席(機関士側)


DF50運転席(機関助士側)


ナンバープレートと製造銘板


タブレット捕捉状態での展示


ディーゼル主機関 三菱-Sulzer 8LDA25A(連続定格1,060馬力、1時間定格1,200馬力)
(エンジンルーム内の公開は特定日のみです。)


ディーゼル主機関と連結された主発電機DM49
主発電機出力は700kW(450V,1560A)
(エンジンルーム内の公開は特定日のみです。)





10周年記念ヘッドマークを取り付けての展示




0系新幹線 0系新幹線電車「21-141」

 昭和39年(1964年)10月1日、東京~新大阪間の東海道新幹線開通時に登場したのが0系新幹線電車です。四国鉄道文化館で保存されている「21-141」車両は、昭和51年、異常時の予備としての「ひかり」編成で作られた21次車のうちの1両です。長い間H94編成の先頭を務め、0系大窓車としては最後に作られたうちの1両でもあります。平成9年までH94編成の先頭に立っていましたが、平成9年6月には短い4両編成のR52(後のQ2)編成の先頭となり、以後平成12年10月まで活躍し続けました。
 廃車後は、車体を約半分に切断の上、海上輸送などを経て、JR西日本からJR四国多度津工場に譲渡されました。その後、西条市がJR四国から借り受け、四国鉄道文化館に展示することになりました。





0系新幹線の運転席




その他の展示品


8000系用パンタグラフ


タブレットと運転士携帯時刻表


四国の列車のヘッドマーク、サボ類



国鉄の駅で必ず見た輸送綱領


旧柄のヘッドマーク幕。2000系用と思われる。


DF50機関車1号機の検査記録簿


お馴染み四国急行列車のヘッドマーク。


こちらは初期柄の急行列車ヘッドマーク。





四国鉄道文化館 南館

 南館の車両展示場には、往年の国鉄急行列車「キハ65形急行用気動車」、一貫して四国で活躍した「DE10形ディーゼル機関車」1号機、ファンから“貴婦人”と呼ばれる「C57形蒸気機関車」を展示しています。屋外には新幹線と在来線の軌間が走行可能な「フリーゲージトレイン」第2次試験車を展示し、各車両を間近で見学することができます。また、館内には四国の沿線風景を再現した大型鉄道ジオラマや、鉄道標識・信号機、車両の動輪の実物展示など、家族や鉄道ファンなど幅広い年齢層の方が楽しみ、鉄道を学べる施設となっています。


四国鉄道文化館 南館 フリーゲージトレインは屋外展示である。




主な展示


キハ65 34  キハ65形急行用気動車

 キハ65形気動車は、強力な走行用駆動エンジンと冷房用電源エンジンを搭載した急行用気動車として昭和44年(1969年)に登場し、昭和47年(1972年)までに104両が製造されました。
 四国では高松運転所に集中配置され、急行列車に使用されましたが、その後の特急列車増発によって急行運用からは外れたものの、一部は普通列車用として残存しました。そして、新型ローカル車両の導入に伴い徐々に数を減らし、平成20年(2008年)10月をもって定期運転を終了しました。
 展示されているキハ65 34号は、最後まで運用に就いていた車両で、平成17年(2005年)からオリジナルの国鉄急行色に塗り戻されており、引退後は多度津工場で保管されました。その後、西条市がJR四国から借り受けて四国鉄道文化館に展示しています。




逞しく美しいキハ65
管理人はキハ65 34には現役時に何度も乗車した。









冷房編成の走行用出力アップに貢献した大出力機関DML30HSD


サボも入れられて往年の急行列車が蘇る。尚、このサボはレプリカと思われる。


凛々しき列車種別幕。今は列車種別として急行そのものが消滅してしまった。





座席はJR化後にこのバケットタイプに変更された。





キハ65の運転台


キハ65のデッキ。乗降扉は昭和40年代に積極採用された折戸タイプ。





DE10 1 DE10形ディーゼル機関車

 DE10形機関車は入換用およびローカル線用に開発され、昭和41年(1966年)から昭和53年(1978年)までに708両が製造されました。エンジンはV型12気筒のDML61ZA形1250psを搭載(1000番代はDML61ZB形1350ps)し、液体変速機は入換用の低速段と本線走行用の高速段の切り換えが可能です。車体はセミセンターキャブタイプで、運転室には左右に運転台を設けています。
 展示車両のDE10形1号機は、昭和41年の試作車2両のうちの1号機で、松山気動車区に配置後は昭和62年(1987年)2月に廃車となるまで一貫して四国で活躍しました。













松山気動車区配置を再現。タブレットキャッチャーも装備する。








こちら以下はエンジンルーム特別公開日の様子。


DE10の主機関DMZ61ZA(1250PS)


DE10の主機関DMZ61ZA(1250PS)


こちらは蒸気発生装置ことSG。四国に客車が配置(12系,14系は除く)されていた頃は、全て蒸気暖房であったためSGは旅客用機関車には必須の機器であった。短い側のボンネット内に搭載されている。





C57 44 C57形蒸気機関車1次車

 昭和12年(1937年)から昭和22年(1947年)までの間に201両が量産された急行用の高性能な旅客用蒸気機関車です。その美しくスマートな姿から「貴婦人」の愛称で呼ばれています。
 展示している「44号機」は昭和13年(1938年)に三菱重工神戸造船所で製造された1次型で、北海道の岩見沢第一機関区において、38・57・135・144号機と共に国鉄で最後まで活躍したC57のうちの1両です。この車両は、旧西条市長や国鉄総裁を歴任された十河信二氏の雅号にちなみ「春雷号」と呼ばれ、長らく西条市民公園で保存されていましたが、四国鉄道文化館の建設を機に移設されました。
 ちなみにC57蒸気機関車は四国への配置は一度も無く、走行歴もありません。







運転台も見学できる。





GCT01-201 軌間可変電車 フリーゲージトレイン 第2次試験車


 フリーゲージトレインは、新幹線の標準軌(1435㎜)と在来線の狭軌(1067㎜)の異なる軌間(ゲージ)に車輪の幅を変換して直通運転を可能とする電車です。軌間の異なる路線間を直通運転できるため、乗り換えの手間がなくなり所要時間の短縮を図ることができます。
 展示車両は、フリーゲージトレインの第2次試験車で、まず平成19年(2007年)から平成21年(2009年)にかけて、九州内の在来線や九州新幹線において試験走行が実施されました。その後、平成23年(2011年)6月からは新しい台車を装着して、予讃線の多度津~坂出間を試験走行し、同年8月から多度津~多喜浜間でカーブ区間を試験走行しました。
 平成25年(2013年)9月に試験走行を終えてJR四国多度津工場で保管されていましたが、四国鉄道文化館の建設を機に独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から西条市に無償で譲渡されました。



屋外に展されているフリーゲージトレイン2次試験車。通常は内部非公開である。


最も特徴ある台車部分。現在は狭軌幅になっており、車輪が随分奥にあることが分かる。


車両所有はJRではない。


特別公開日に見学した車内の様子。こちらは運転室。


車内にも様々な機器が搭載されていて、アルミパネルで仕切られている。





車両の後ろの方は座席も配置されている。写真右手にはパネル紹介。
フリーゲージによる恩恵効果が解説されていた。






















四国鉄道文化館