　土讃線は、香川県仲多度郡多度津町の多度津駅から高知県高知市の高知駅を経て、同県高岡郡四万十町の窪川駅に至る路線である。讃岐山脈および吉野川上流に沿って四国山地を越えて多度津と高知を結び、さらに土佐湾沿いの内陸部を通り窪川を結んでいる。
　広域輸送網としては、1988年の瀬戸大橋線開通前までは、全ての特急列車が本州と四国を結ぶ宇高連絡船の接続駅であった予讃線高松駅を始発・終着として運転されていたが、瀬戸大橋線開通後は山陽新幹線に接続する岡山駅を始発・終着とする特急列車を主体とするダイヤ編成となっている。
　多度津 - 琴平間は国鉄末期に電化されており、高松方面からの電車列車が乗り入れている。しかしそれ以外の区間は電化されていないため、特急列車や徳島県・高知県内の普通列車には気動車が用いられている。

路線データ

路線距離（営業キロ）：198.7km
駅数：61（起終点駅含む）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：多度津 - 琴平（直流1500V）
閉塞方式：多度津 - 高知：単線自動閉塞式 CTC・PRC
　　　　　高知 - 窪川：特殊自動閉塞式（電子符号照査式） CTC・PRC
最高速度：120km/h（多度津 - 高知、日下 - 土佐加茂、吾桑 - 多ノ郷、六反地 - 仁井田）
　　　　　110km/h（高知 - 日下、土佐加茂 - 吾桑、多ノ郷 - 六反地、仁井田 - 窪川）
最急勾配：25‰（讃岐財田 - 佃、繁藤 - 土佐山田、土佐久礼 - 影野など）
最小曲線半径：200m
司令所：阿波池田制御所（多度津ー高知）、高知制御所（高知ー窪川）

沿線風景

　土讃線の起点駅は多度津であるが、予讃線高松・宇多津方面から直通する列車も多く、多度津からは単線の土讃線に入る。善通寺は弘法大師空海が生まれた所、琴平は右の車窓に見える象頭山中腹にある金刀比羅宮（こんぴらさん）の門前町である。琴平を出ると讃岐山脈の主稜を猪鼻トンネル（長さ3,845m）でくぐり抜け、池田（三好市）の町を右手下方に眺めつつ東進し、中央構造線に沿って流れる吉野川（別名四国三郎）を571 mの吉野川橋梁で渡ると、今度は西に向きを変え、すぐに佃駅で徳島線と合流する。池田は中央構造線上にある町で、土讃線の線路は阿波池田 - 三縄間にある丸山トンネルの中で断層地帯を突き抜けている。
　阿波池田 - 大杉間は美しい渓谷沿いを走り、車窓を楽しめる区間であるが、四国山地を横断する路線として、出水・土砂崩れにしばしば見舞われる場所でもある。山間部には最大25‰の勾配区間や半径200mのカーブが続く区間がある。大歩危、小歩危は絶景ポイントとして全国的に有名。途中2か所（坪尻、新改）スイッチバック方式の駅があるが、普通列車以外はスイッチバックせず通過する。
　JR四国全路線の最高所（標高347.4m）にある繁藤駅から山を下り始め、土佐山田駅の直前で高知平野に降りる。後免駅は南国市の中心駅、高知龍馬空港に近く、また土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の接続駅でもある。高知駅は高知県の鉄道交通の中心であると同時に、桂浜や高知城、土佐の日曜市などへのアクセス拠点としても機能する南四国観光の玄関口。駅正面口はとさでん交通の電停にも直結する。駅舎は2008年2月26日に高架駅に生まれ変わった。
　高知 - 佐川間はおおむね平野部を西へコースをとる。途中の伊野は土佐和紙の生産地、そして佐川町は土佐鶴と並ぶ高知の地酒メーカー・司牡丹の酒蔵が建つ町である。佐川付近で針路を南に変えると間もなく低い峠を越え、天然の良港に面した須崎市に至る。須崎駅から先、しばらくは土佐湾沿いに走るが、山が海まで迫っている地形のため、車窓は海と山とトンネルの繰り返しとなる。土佐久礼駅で海から分かれると、その先は25‰勾配の連続区間。四道トンネル（長さ1,823 m）をくぐって標高約250 mの高南台地に出る。終点の窪川駅は宿毛・宇和島方面へと線路が連続しており、長大幹線の終着駅という印象は薄い。

主な優等列車の運行形態は以下の通り。

特急「南風」　　　　　　　　　　　岡山ー高知・中村・宿毛
特急「しまんと」　　　　　　　　　高松ー高知・中村
特急「あしずり」　　　　　　　　　高知ー中村
特急「サンライズエクスプレス瀬戸」東京ー高松・琴平（高松ー琴平間は季節運行）