左 キクハ32 502 予讃線 高松


 キクハ32 500番台は、トロッコ列車用として1997年にキクハ32-501が新潟鐵工所で製造され、2003年にはキクハ32-502が増備された。「キクハ」の形式称号が示すように運転室はあるが動力装置を持たない「制御車」である。廃車発生品のTR51C形台車を装着し、かつ16m級の小型車体であるため、便宜上仕様面での類似性の強いキハ32形と同系列として取り扱われることになり、キクハ32形となった。
 キクハ32-501は当初緑色塗装で定員61名。運転開始当初は予土線の「清流しまんと号」の増便用として登場した。その後土讃線 阿波池田~大歩危間の「おおぼけトロッコ号」として運用されたが、同列車は「四国まんなか千年ものがたり」の運行開始に伴って運転終了となり、2017年9月に高知~窪川間の「幕末維新号」としてリニューアルされた。尚、「幕末維新号」も2019年11月に運転を終了しており、今後の利用については未発表である。
 キクハ32-502は一部の腰部と床面がガラス張りとなっている。502も当初は緑色塗装で定員52名であったが、2006年のリニューアルで青地にアンパンマンのキャラクターが描かれた「アンパンマントロッコ」となり、同時に定員は48名になった。車内もアンパンマン仕様となっている。2015年に再リニューアルが行われ塗装が変更された。
 本形式は前述の通り動力装置を持っていないため、主にキハ185-20またはキハ185-26と連結して運転される。この両車もキクハ32形に合わせて、かつては車体帯色が緑に変更されていた。このうちキハ185-26は2015年にキクハ32-502のリニューアルに合わせて塗装・車内をアンパンマン仕様としグリーン車扱いとなったため、形式が「キロ185-26」に変更された。キハ185-20も2017年にキクハ32-501のリニューアルに合わせて「幕末維新号」としてリニューアルされた。

 「アンパンマントロッコ」となったキクハ32-502は、キロ185-26と共に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で被災した東北地方や関東地方の子供たちを支援するため、JR東日本エリアで2012年3月から6月にかけて団体臨時列車として運転された事がある。JR東日本エリアではATSなどの関係で自走による運転は行わず、機関車牽引にて運転された。



キクハ32 501 京都鉄道博物館



キクハ32 500番台 主要諸元

形式 キクハ32 500番台
運用者 JR四国
製造所 新潟鐵工所
製造年 1997年(501)
2003年(502)
在籍数 2両 
運用開始  1997年
最高運転速度 95 km/h
全長 15,800 mm
全幅 2,800 mm
全高 3,620 mm
車体 普通鋼
車両定員 61名(501)
48名(502)
自重  22.0 t (501)
24.0 t (502)
台車   DT55/TR240
機関  TR51C
機関出力 
変速機
変速段 
制動装置   電磁自動空気ブレーキ(CLE)
保安装置  ATS-SS


























キクハ32 500番台