特急「しおかぜ・いしづち」 8600系 予讃線 讃岐塩屋ー多度津


 
8600系は2000系気動車の老朽化に伴い、予讃線電化区間における置換え用として登場した特急形電車である。JR四国における特急形電車の新製は8000系電車以来21年ぶりである。
 曲線での速度向上のため、車体傾斜制御装置を搭載しているが、本形式では従来2000系気動車・8000系電車で用いられた制御付き自然振子方式ではなく、台車構造の簡素化による省メンテナンス化と、到達時分の短縮の両立を図るために台車枠と車体の間にある左右の空気ばねの内圧を制御して、車体を傾斜させる空気ばね式車体傾斜方式を採用している。これはJR北海道キハ261系で採用された車体傾斜装置をベースとしたものである。

 外観は、先頭部を蒸気機関車を模したブラックフェイスとし、「列車の力強さ・ダイナミズム」を表現しつつ、車体色はオレンジとグリーンが用いられ、「瀬戸内の温暖な風土」と「穏やかで美しい四国の自然」、「愛媛」と「香川」をイメージし、特急のスピード感を流線(ストリームライン)でなぞらえている。先頭部はすべて貫通構造であり、貫通扉にはLED式の愛称表示器を装備している。
 車体はステンレス鋼を用いた溶接組立構造のステンレス車体を採用しており、車体の側面の側構体には、溶接歪による凹凸が少ないレーザ溶接が使用されている。先頭部分の先頭鋼体部は普通鋼製を用いた溶接組立構造である。床面高さは8000系と同様の1105mmである。客用扉は8000系電車などと同様に各車片側に2つずつ、車端側に設置されているが、本系列ではプラグドアではなく一般的な引戸とされた。また、半自動機能付きで、そのためのドア開閉用ボタンも設置されている。また、車掌や客室乗務員が使用する放送装置は、車外放送が可能となっており、無人駅での集札業務が多いJR四国での地域事情を考慮している。
 室内に関しては、車両・座席種別ごとに「グリーン(Fresh Green)」・「オレンジ(Shine Orange)」・「茜色(Deep Red)」のアクセントカラーが設定されており、座席色やデッキ部手すり、乗降用ドアの室内側の塗装に反映されている。また客室にはバリアフリー整備ガイドラインを考慮した設備を導入している。照明にはLED照明を採用している。
 車内案内表示器(フルカラーLED式)は客室妻扉上部のほか、普通車半室を指定席とする場合の案内用として客室中央にも設置している。

電源・制御機器関連

 主回路制御方式は架線からの直流1,500 VをVVVFインバータで三相交流に変換して交流誘導電動機を制御するVVVFインバータ制御を採用する。VVVFインバータ装置は S-CS63 と呼称される。IGBT素子を使用した2レベル電圧形PWMインバータ1基で1基の電動機を制御する、いわゆる1C1M構成であるため、故障時は1群ごとの開放が可能である。ブレーキ方式は回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用しており、常用ブレーキ、非常ブレーキ、抑速ブレーキ、直通予備ブレーキの4種類を備えている。発電ブレーキ時に使用するブレーキチョッパ装置 S-CH63 と自然冷却式ブレーキ抵抗器 S-MR63 も装備しており、架線への回生負荷がある場合には回生ブレーキを優先させ、常用ブレーキ使用時では0km/h付近まで回生ブレーキを使用できるが、架線への回生負荷が無い場合においての回生失効時には、架線電圧の急上昇を検知して発電ブレーキに切替わるようになっている。また、滑走制御機能付きブレーキ制御装置を台車近傍に装備する。

 主電動機は東洋電機製造製の全閉外扇形三相かご形誘導電動機 S-MT63(端子電圧1,100V、電流161A、周波数172Hz、1時間定格出力220kW、定格回転数3,400rpm、効率93.5%)を採用する。固定子コイルや回転子周辺への塵埃の侵入を防ぐ事ができ、従来の開放形主電動機と比較して保守性に優れた構造となっている。さらに、外扇ファンによる冷却風が固定子鉄心を直接冷却するため、冷却性能に優れている。
 補機用・制御用電源として、静止形インバータ S-SIV150M を2基搭載する。そのうちの1基を待機予備とする待機2重系とすることで、冗長性を確保する設計である。
 空気圧縮機はSIV出力の三相交流440V 60Hzを電源とする S-MH13-SC1600 を採用し、空気ブレーキや空気ばね式車体傾斜などへの圧縮空気の供給を行う。

集電装置関連

 Tc・Tsc車後位に搭載する。なお、集電装置取付部の屋根は予讃線の狭小トンネルに対応するため通常部の3,560mmから255mm低くした3,305mmとされている。
 集電装置にはJR四国の車両としては初めてのシングルアーム型(S-PS61)を採用した。車体取付寸法は、8000系電車のS-PS59と共通とすることで互換性を持たせている。また、集電装置が車体傾斜により架線から離線したり、狭小トンネルで建築限界へ支障することを防ぐため、車体側部を通して集電装置取り付け台と台車の間をワイヤーで連結し、集電装置の左右の動きを拘束、その取り付け台が屋根上の枕木方向に設置されたガイドレール上を移動することで、常に集電装置の位置を軌道中心とする架線追従装置を装備する。

車体傾斜装置関連

 川崎重工業開発の空気ばね式車体傾斜方式を採用しており、曲線外軌側の空気ばね高さを上げることで最大で2度の車体傾斜が可能である。使用時の曲線通過速度は、下表の通り。これは、より傾斜角の大きい振子方式で車体を傾斜させる2000系気動車・8000系電車と同等であるが、通常の在来線車両では曲線通過時の左右定常加速度0.08Gを目指して設計されるところ、本系列は着席を前提に新幹線で実績のある0.1Gを許容している。

曲線半径 200≦R<400  本則+20km/h
曲線半径 400≦R<600  本則+25km/
曲線半径 600≦R  本則+30km/h

 制御は、本系列以前に同方式による車体傾斜が実用化されたJR北海道キハ201系・キハ261系気動車では、ジャイロセンサーと加速度計から曲率を求めて加速度計の値が目標値となるまで車体を傾斜させるセンサ式を用いたが、本系列では、自社の制御付自然振子車両の2000系気動車・8000系電車と同様、地上の路線データなどをTc(Tsc)車のマイコン(TC装置)にあらかじめ記録し、ATS地上子により自車の位置を検知して曲線区間の手前から車体を傾斜させるマップ式を用いた。しかし、この制御方式は性能面で優れるが、空気バネ式車体傾斜に用いた場合、誤って曲線外軌側へ車体を傾斜させることが考えらえることや、制御中止時に曲線通過速度を落とさざるを得ないためセンサ式をバックアップとして用いている。
 量産先行車による走行試験時に、曲線が連続する区間で元空気溜圧が想定以上に低下する事象が発生した。このため、空気タンクの増量等の改良が量産車で行われ、量産先行車についても改修が行われている。
 この改良に伴い、8600形、8750形では空車重量が量産先行車落成時と量産車とでそれぞれ0.3tずつ増加している。

参考出展:https://ja.wikipedia.org





特急「いしづち」 8600系 予讃線 柳原ー粟井



特急「しおかぜ・いしづち」 8600系 予讃線 新居浜



8600系量産車主要諸元

形式 8600系 
運用者 JR四国 
製造所  川崎重工業
製造年  2014年~
製造数   17両
電気方式 DC1500V 
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 140 km/h 
全長 20,800mm 
全幅 2,840 mm 
全高  3,560 mm
車体  軽量ステンレス鋼
編成定員 E0編成 141名
E10編成 101名
編成重量  E0編成 113.0t
E10編成 80.5t 
台車   S-DT66/S-TR66
主電動機 全閉外扇式
三相交流誘導電動機 S-MT63
編成出力 220kW x 4=880kW
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
制御方式 IGBT素子 
VVVFインバータ制御
制動装置  回生・発電ブレーキ併用 
電気指令式ブレーキ
抑速ブレーキ
直通予備ブレーキ
保安装置  ATS-SSⅡ





8600系編成表

配置:松山運転所

編成
番号
8750(Tc)+8600(Mc) 製造所 新製日 備考
 E11  8751+8601 川重  14.03.06 量産先行車
 E12  8752+8602 川重  14.03.06 量産先行車
 E13  8753+7603 川重  15.10.20
 E14  8754+8604 川重  15.10.20  



編成
番号
8700(Tsc)+8800(T)+8600(Mc) 製造所 新製日 備考
 E1  8701+8801+8605 川重  15.10.20
 E2  8702+8802+8606 川重  15.10.20
 E3  8703+8803+8607 川重  18.02.03











8600系