特急「しおかぜ・いしづち」
 8000系 予讃線 讃岐塩屋ー多度津


 1992年(平成4年)3月、予讃線観音寺駅 - 新居浜駅間が直流電化されたのをきっかけに、8000系試作車(8001+8101+8201)が登場し、同年8月に臨時列車として岡山駅 - 新居浜駅間特急「しおかぜ」・高松駅 - 新居浜駅間特急「いしづち」として営業運転を開始した。翌1993年(平成5年)3月18日改正で新居浜 - 伊予北条間の電化、これに伴う高松駅 - 伊予市駅間の電化完成に合わせて量産車が登場し、「しおかぜ」の大半と「いしづち」全列車を本系列に置き換え、本格的な営業運転を開始した。これにより、従来運用されていたキハ181系やキハ185系と比べ、始発駅と終着駅との所要時間が最速列車同士の比較で20分短縮された。
 8000系車両は日立製作所・日本車輌製造で開発・製造されている。1993年当時は半室グリーン車が1号車の5両編成5本と4両編成1本(ともにL編成)に、付属編成となる3両編成(S編成)5本でバリエーションに富んだ編成になっていたが、1997年(平成9年)11月29日のダイヤ改正からは、多客時を除く昼間の電車特急はすべて多度津駅(分割併合作業場所の変更により現在は大半の列車が宇多津駅) - 松山駅間において「しおかぜ」と「いしづち」を連結した8両編成で運転することになった。このため、4両だったL2編成に挿入するための1両(8300形)と、3両編成1本(S6編成)の計4両が追加新造されている。1998年(平成10年)3月14日のダイヤ改正からは、岡山方面の所要時間短縮のため、宇多津駅構内のデルタ線を利用して編成ごと向きを転換し、半室グリーン車が8号車になっていた。しかし、2014年(平成26年)3月15日のダイヤ改正で再度方向転換が行われ、半室グリーン車が1号車となっている。これは、グリーン車を2000系気動車と同じ下り側に統一することで、利便性を向上させるためである。
 主回路にはVVVFインバータ制御(GTO素子)が採用されている。試作車は電動車 (M) 2両の8個のモーターを一括制御する方式 (1C8M) だが、量産車はM車を少なくしてモーターの出力を上げ、各モーターを個別制御する方式 (1C1M) に変更された。
 本形式にも制御付振り子装置が採用された。振子作用時の車体最大傾斜角は2000系気動車と同じ5°で、曲線半径600mで本則+30km/hでの130km/h運転を可能とした。車体の傾斜によってパンタグラフが架線から離線するのを防ぐため、車体側部を通して台車とパンタグラフ台座の間をワイヤーで結び、常にパンタグラフが真上を向く架線追従装置が装備されている。なお、宇野線・本四備讃線では振り子を使用しない。
 設計最高速度を160km/hとした試作車は、レールブレーキを装備して湖西線や予讃線での高速走行実験が実施され、予讃線での高速走行実験では158.9km/hを達成し、150km/hから600m以内で急停止できることが確認された。しかし、結局150km/hでの営業運転は行われず、試作車のレールブレーキも量産車の営業運転開始までに撤去された。
 全車両ともデッキは車端部に2箇所設置され、客用扉はプラグドアである。座席の前後間隔はグリーン車は1170mm、普通車は980mmとしている。車内の仕切扉の機構は電気式で、連結器は密着連結器+電気連結器、自動放送装置は音声合成式で、LED式車内案内表示装置も備えるなど、これらは2000系を踏襲したものである。
 2004年(平成16年)10月から大幅なリニューアル工事を施した車両を順次投入した。工事内容は、グリーン車・普通車指定席のみであるが、「S-Seat」と呼ばれるより上質な難燃木材製座席への取替え、パソコンテーブルや車両の最前部のみであるがコンセントの設置などである。また、車体のドア周りの塗装を普通車指定席はオレンジ、グリーン車は赤のグラデーションとした。内装は従来のままで据え置かれた普通車自由席も、ドア周りに紺のグラデーション塗装を施し、外から視覚的に座席種別が分かりやすいように手が加えられた。このリニューアル工事を施工した編成は、2005年(平成17年)度の財団法人日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞を受賞した。

参考出展:https://ja.wikipedia.org




特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線



特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線 多度津



特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線



特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線 伊予西条



特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線




特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線 柳原ー粟井



特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線



特急「しおかぜ・いしづち」 8000系 予讃線 松山





8000系量産車主要諸元


形式 8000系 
運用者 JR四国 
製造所  日本車輛製造
日立製作所
製造年  1993年~1998年
製造数   48両
電気方式 DC1500V 
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 140 km/h 
全長 22,600 mm(8500形)
21,300mm 
全幅 2,820 mm 
全高  3,360 mm
車体  ステンレス鋼
編成定員 L編成 281名
S編成 168名
編成重量  L編成 183.2t
S編成 109.2t 
台車   S-DT60/S-TR60
主電動機 三相交流誘導電動機 S-MT60
編成出力 L編成 200kW x 8=1600kW
S編成 200kW x 4=800kW
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
制御方式  VVVFインバータ制御
制動装置  発電ブレーキ 
電気指令式ブレーキ
直通ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置  ATS-SS




8000系編成表

配置:松山運転所

編成
番号
8000(Thsc)+8100(M2)+8150(M1)+8300(T)+8400(Tc2) 製造所 新製日 備考
 L1  8001+8107+8151+8301+8401 日車 93.03.02 8001落成
92.07.21 
 L2  8002+8102+8152+8310+8402 日車  93.03.07 8310落成
97.10.20 
 L3  8003+8103+8153+8303+8403 日車 93.01.26 アンパンマン列車

 L4  8004+8104+8154+8305+8404 日立  93.02.14

 L5  8005+8105+8155+8307+8405 日立  93.02.14

 L6  8006+8106+8156+8309+8406 日立  93.03.04




編成
番号
8200(Mc)+8300(T)+8500(Tc1) 製造所 新製日 備考
 S1  8201+8101+8501 日車  92.07.21 試作車
18.03.31廃車
 S2  8202+8302+8502 日車  93.03.06

 S3  8203+8304+8503 日立  93.03.02 アンパンマン列車

 S4  8204+8306+8504 日立  93.04.01

 S5  8205+8308+8505 日立  93.03.02

 S6  8206+8311+8506 日車  97.10.20












8000系